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悪沢岳3148m〜赤石岳3120m 交通 R1千代田上土IC−県74・27・189・60ー畑薙 単独
2010年8月12日(木)〜15日(日)
 南アルプス南部は往復も含め最低4日が必要だからなかなか行けない地域である。今年は何としても荒川岳〜赤石岳縦走を果たすべく休暇を取った。南アの3千m級の山に登るのは1998年以来12年ぶりである。

12日(木) 午後自宅発。台風4号が日本海を東進中で時々強い雨になる。首都高はもちろん東名高速も交通量が少なくこれでは目的地到着が早すぎてしまうので御殿場ICで国道246号におりた。沼津で遅い昼食を摂り国道1号バイパスの千代田上土ICで県道におりる。第二東名の工事中で道がややこしかったが井川方面の案内に沿って道なりに走れば井川湖に着く。湖岸の道を畑薙第一ダムまでさらに20km。
 静岡市内から都合85kmの山道を2時間かけて走った。13年前この道をバイクで走ったことがあるがバイクなら楽しいコーナリングも車だと疲れるだけだ。
 畑薙第一ダムを見学してから少し下流のマイカーの駐車場に移動。車の中でビールとワインで21時に就寝。雨は上がり星が出ていた。

13日(金) 人声が喧しく4時に目が覚めてしまった。いつの間にか車が一杯、一番バスは8時発なのでのんびり支度。早い人はもう5時頃からバス停に並んでいた。
 食事が済んでバス停を見たら百人ぐらい並んでいるではないか。「乗り切れないかも知れない」事の重大さに気付いて6時30分行列の後ろに並ぶ。
 6時40分にはバスが3台来てすぐ乗車開始である。最後の3台目が7時ちょうど発。「あと2台来るから」と運転手の言葉を信じ待つこと30分やっと乗れたバスは7時45分に出発。最後の5台目が定刻の8時頃発のようだった。行列の最後のほうは積み残し、10時30分まで待たされる。
 28人乗りの会員制バスは未舗装の林道を1時間かけてロッジのある椹島8時45分着。28人×5台=140人が一度に山を目指す。

 身支度を整えて椹島8時55分発。園地を抜けて林道に出ると直ぐに滝見橋が見えてくる。橋の手前が登山口。鉄板の仮設橋を渡り幾つかの小沢を横切る。どの沢も豊富な水を流している。吊橋で奥西河内を渡り尾根に取り付く。発電施設の巡回路にもなっていて歩きやすい。
 林道に出会い矢印に従って右に進み鉄梯子を登る。尾根をジグザグに上がるがすぐにまた傾斜の少ない道になる。
 11時05分荒川三山の稜線が見えた。左から重機の音が聞こえたので林道で何か工事しているようだ。再び林道を横切るが小さいアップダウンが清水平まで続く。こういう道は苦手なのだ。歩いても歩いても高度が上がらない。
 清水平まであと10分位の所で右手斜面上から車の止まる音とドアの閉まる音、見上げると男性がいた。その仕草から小用を足すために斜面に近づいてきたのだと察する。手を叩くとその音で気がついたと見えて別な方へ移動した。地図で見ると林道と登山道は隣接しているが高度差が50mくらいある。車の人からはすぐ下に登山者が歩いているとは思わないのだろう。
 12時20分水場のある清水平で大休止。冷たい水をたっぷり飲んだ。12時55分出発。ここから千枚小屋まで4時間20分と書いてあるのでとうてい4時までには着けない。
 登山口に「4時までに小屋に着いてください」という案内があった。4時までに着かないと食事が提供されない小屋があると聞いている。千枚小屋がそうなのかは知らないがとにかく急ぐことにした。

8:54
登山基地 椹島(さわらじま)

11:05
荒川三山が見えてきた
 13時50分標識はないが右の岩の上で人の声が聞こえたのでここが見晴台だろう、でも岩に上がって景色を見ている時間がもったいない、景色はこの先いくらでも見られるだろう。木の間越しに写真を2,3枚撮っただけで先を急いだ。しかしこのあと最後まで二度と稜線を見ることはなかった。
 道は相変わらず緩やかで広い。登山者が多いので道幅が広がったのだと思っていたら、「明治40年から43年にかけて伐採したときの馬車道」との(株)東海フォレストの解説板を見かけた。登山道、旧馬車道、林道が一部共用しあっている、というわけだ。

12:54
水場のある清水平

13:32
蕨段付近

13:51
見晴台付近からの展望

14:21
明治40年の馬車道跡
 15時凹地が緑色の藻に覆われた場所に出た。池であるとは標識を見るまで分からないほどだ。千枚小屋まで1時間とも書いてあった。清水平からまだ2時間しか歩いていないので「あれ?」と思った。それなら4時までに小屋に着ける!
 15時20分右に分岐があった。立入禁止になっていたが『管理道路』と書いてあった。地図にはこの近くまで林道が来ている。おそらくそこまで車で来てあとは徒歩で千枚小屋まで行く「ぼっか道」なんだろう。
 15時30分やっと花らしい花が現れる。15時35分左下の林の中に水場があるらしい、女性4人が戯れていた。水場は小屋にもあるはずなので通過。そこから10分、お花畑に囲まれた仮設の千枚小屋があった。

15:01
緑色の駒鳥池

15:46
仮設の千枚小屋

16:07
千枚小屋から正面に笊ヶ岳と布引山

16:41
お花畑を見ながらビールを飲む
14日(土) 小屋の朝は早い。4時に食事が始まる。あたりはまだ真っ暗だ。4時50分濃い霧に包まれていたが朝霧だろうと思い雨具を着けずに出発。5時30分稜線に近づくにつれ風が出てきた。時々雨も落ちてきたので雨具の上だけを着た。5時45分千枚岳の頂上。風が強いので写真を撮っただけですぐ出発。
 千枚岳からは岩稜帯の急なアップダウンの連続だ。岩場の通過には気を使った。悪沢岳の手前の丸山では3,4人前を歩く若い人のザックカバーが飛んできた。
 7時20分悪沢岳に着いた。ここもガスで何も見えない。同時に数人が着いたので写真を撮りあう。ここで引き返すグループもいた。今なら今日中に下山出来るだろう。
 悪沢岳からの下りはもっと厳しかった。強風で何度かよろめいた。

4:46
朝食は4時 外はまだ真っ暗

5:48
強風の千枚岳


5:53
岩稜帯に咲く花々

6:01
岩場の急降下


7:20
ガスの悪沢岳

8:39
中岳避難小屋
 8時35分中岳避難小屋。悪天候時に小屋の存在は有難い。休憩しようとドアを開けたら、「ザックは外」と言われ入室を断念。荷物を外に出したまま手ぶらで小屋に入ってもねぇ。室内には大勢が待避していたので小屋番が横柄になってたのかも。
 仕方なく入口横の庇の下で立ったままバナナを一本と水分を摂った。寒暖計を見たら7℃だった。小屋から中岳山頂までは5分ほど。標識がなければ山頂とは気付かない。
 8時50分山頂で若い男性の単独者に「前岳はこっちですか?」と尋ねられたので「少し下って分岐を右に行けば前岳だと思います。私もそっちに行きますから」と答えた。写真を撮っている間に彼はさっさと行ってしまった。
 分岐には右三伏峠・左荒川小屋とあり前岳のことは書いてない。さっきの彼の姿もなかった。荒川三山縦走にこだわれば前岳も行くべきだろうがガスで数十m先も見えない状態でわざわざ行く気は起きなかった。

8:53
寒さの荒川中岳

9:18
中岳カールのお花畑
 そのまま左に下った。カールの底まで一気に下るような坂道だ。辺りは一面のお花畑なのだろうが白い霧の中にかすかに赤や黄色が点在しているだけ。カメラでははっきり写らなかった。
 10時荒川小屋。樹林帯なので風は収まっているが小雨が降っているので小屋の中に入った。数組しかいなかった。手作りカレーを注文した。千枚小屋では電話は通じだがネットは駄目だった。ここではDocomoのiモードが通じたので天気図、雨雲レーダー、山岳天気予報を受信。天気は回復しそうもない。かといってここで停滞したら明日中に帰れなくなる。カレーを食べながら予定通り赤石岳に向うことにした。
 10時50分雨具の下も履いて出発。大聖寺平まで緩やかな登りが続いた。雨、風も穏やか。しかし小赤石岳の肩辺りから雨が本降りになってきた。
 13時小赤石岳通過。13時15分赤石岳分岐。急に人が増えてきた感じ。ザックが幾つも置いてあったので空身で赤石岳往復することにした。

9:32
岩屑の中にもしっかり根を張っている

10:49
荒川小屋を出発

13:39
雨の赤石岳

16:16
ずぶ濡れで赤石小屋へ
 13時40分赤石岳山頂。結局この日の山頂写真は皆同じになってしまった。
 14時分岐から下山開始。14時50分雨と風と沢の音が渾然となってゴーゴーきこえていたが霧の切れ目に北沢源頭の景観が一瞬広がった、2本の沢、というか滝が流れ急斜面は一面のお花畑。カメラを出そうとしたが止めた。去年濡らして故障した。デジカメは水に弱い。
 15時40分富士見平。16時15分赤石小屋着。

15日(日) 6時05分小屋発。足を引きずりながら途中3回休憩とって9時30分椹島着。赤石小屋には椹島まで3時間半と書いてあったが元気な人なら2時間半位で歩けるにちがいない。
 バスは10時30分発。先着順に番号札をもらうので並ぶ必要はなかった。ベンチに座り飲み食い。来る時は何時間も立って並んでいたのだから雲泥の差だ。

6:05
雨は上がっていた

6:05
強風を示す白い雲の塊(レンズ状)
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