396 | 権現岳 2715m | 交通 | 中央道長坂IC−県道28号線−甲斐大泉駅−天女山入口 | 単独 |
2010年2月14日(日) 晴 |
厳冬期の権現岳に南東尾根(天女山コース)から登る。 八ヶ岳全記録 このルートは昨年2月に実行しているが、その時は三ツ頭の先の鞍部までで引き返している。三ツ頭の先の樹林帯の深雪と頂上直下の表層なだれを目撃して登ろうという気が失せてしまったのだ。 今回は雪の硬い早い時刻に頂上を往復できるように、出発時刻を昨年より1時間30分も早めての再挑戦である。 午前4時10分天女山入口の駐車場。2台分の空きがあった。駐車場の前に赤点滅の信号があったが一時停止せずに突っ込む。上り坂なので一旦停止したら最後タイヤが空転して走れなくなるかもしれない。気温−4度雪が残る凍結路である。本来ならタイヤチェーンを巻かないといけないところだろう。 |
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4時30分出発。道は完全に凍結しているので、かえって滑らない。天女山にちょうど5時着。夏ならここまで車で来れる。5時25分天の河原、まだ真っ暗で下界の夜景がきれいに輝いている。 6時35分見覚えのある「前三ツ頭へ70分」の看板。ここでヘッドランプを消す。朝日が昇り黒い森の上の方からピンク色に変わりつつあった。人間がつけたトレースは昨日の降雪と風で消えかかっている。数時間前に通ったと思われる鹿の足跡だけがくっきり残っている。前三ツまではずっとそんな状態だったが去年の記憶が残っているので道の不安はなかった。 6時45分「前三ツ頭まで急坂60分」の看板の前でアイゼンを着けた。7時05分「標高約2000m」の大きな看板。高さ的にはここまでで道半ば。 |
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5:25 まだ明けない天の河原 夜景がきれい |
6:35 鹿の足跡がくっきり残っていた |
7時30分振り返ると雲海の上に富士山を発見。でも東の空は霞んでいるのではっきりとは写らない。 7時45分「ここが一番きつい。もう少しで前三ツが見える」の標識。去年はここでアイゼンを着けた覚えがある。5分後前三ツ頭のこんもりした三角形の森が見えた。 8時10分富士山と南アルプスを見ながら中食。今朝3時30分に朝食を摂っているが行動中飲食するのは初めて。食事中2人パーティーに追いつかれた。今日初めて人に会った。彼らは「三ツ頭まで行く」ということだった。私よりハイピッチなのに意外だった。 ここからは2人の足跡をなぞって行けばいいので歩くのが楽になった。 |
7:10 2000m付近の着氷 |
7:50 前三ツ頭が見えてきた |
8:10 樹氷の下で中食を摂る |
8:50 前三ツ頭の雪の状態(左の写真) (右の写真は昨年2月22日9時36分のもの) |
8時50分前三ツ頭につく。数組が写真を撮ったりしていた。この付近でテントを張り早朝の写真を撮る人もいる。 去年の山頂標識の写真を覚えていたので比較すると今年はだいぶ雪が少ない。強風の吹き抜ける鞍部を通過し再び樹林帯に入る。このピークを登りきると三ツ頭である。 9時42分森を抜けると今まで見えなかった編笠山や中央アルプスが見えてきた。三ツ頭の一角で、観音平への分岐の標識が雪に埋まっていた。 9時58分石碑の散らばる三ツ頭着。赤岳〜阿弥陀岳、権現岳の大展望が広がる。去年は風が強かったが今年は耐風姿勢を取るほどではなかった。 |
9:03 中央が前三ツ頭 その先に富士山 |
9:42 三ツ頭手前から編笠岳を見下ろす |
この大展望を見るために三ツ頭まで重いカメラを担ぎ上げる人もいるくらいだ。写真を数枚撮って出発。ストックをピッケルに持ち替え、ウールの手袋の上に化繊のオーバー手袋を着ける。 一旦鞍部に下り樹林帯に入る。岩を飛び越すところなどもある。去年はここでトレースがなくなり挫折したが今日はすでに十数人が往復しているのでラッセルの必要はなかった。ワカンは使わずに済んだ。 樹林帯はすぐ終わり疎林となる。南面で風も弱まり暖かいくらい。富士山、秩父連山を振り返りながら登る。単独者2組に抜かれる。この先に一番の難所、頂上直下の雪の斜面のトラバースが待っている。 |
9:58 三ツ頭からの大展望 |
10:30 権現岳頂稜部 |
10:43 若い人のスピードにはかなわない |
10:47 雲海の上に秩父連山 |
10時50分いよいよトラバース。右側を見上げると今にも雪崩れそうな急斜面、左は…木があるので転落してもどこかで止まる?足元の雪が崩れたら危険だが今日は雪が硬い。わずか30m程だが唯一のドキドキ場面。 トラバースを終え右に岩を回りこむと岩稜の山頂がすぐそこに見えた。頂上には5,6人いるのが見えた。 11時05分、写真を撮りながら山頂が空く順番を待った。風は弱く厳冬期の山頂、という雰囲気ではない。 御岳、乗鞍、穂高、立山、白馬・・・見える限りの山名を浮かべる。ギボシからのルートにもしっかりトレースがあった。 |
11:06 山頂から 編笠岳と南アルプス |
11:06 白く輝くギボシ はるかに北アルプス |
11:11 山頂の大岩で |
11:13 赤・横・硫黄・阿弥陀・天狗 全部見えた |
11時15分下山開始。たった10分しか滞在しなかったとは下山後に写真の時刻を見て分かった。冬は稜線でのんびりランチタイムというわけにはいかないが10分しかいなかったとは…。 恐怖のトラバースが終わり雪の着いていない岩を見つけ2回目の中食。今日初めて腰を下ろすことが出来た。(11時45分〜12時)ピッケルをストックに替える。 12時25分、三ツ頭に戻ると10人位が登って来ていた。若い女性、年配の単独者、ここまででも充分満足出来る。 14時15分天の河原で後ろを振り返ると、登る時には真っ暗で見えなかった前三ツ、三ツ頭、権現の頂きの連なりが見えた。 15時05分駐車場に戻った時、青空はすっかり高曇りに変わっていた。 |
14:16 天の河原から 権現岳は右奥の黒い突起 |
2年がかりで厳冬期の権現岳に登ることができた。当初前日に前三ツでテント泊するつもりだった。13日は東京も小雪が舞い、昼過ぎに登山口に着いた時には雨だった。それでテント泊は止めて軽荷で日帰りに切り替えたのが良かったのかもしれない。一日の行動時間が長くなったが一人でテント泊していたら果たしてそこまでテンションがもったかどうか? |