258 | 蝶ヶ岳2677m | 往 | 新宿=JR中央線=松本=タクシー=中の湯 | 単独 |
2004年12月30日〜05年1月1日 | 復 | 坂巻温泉=バス=松本=JR中央線=新宿 |
越年登山で北アルプス蝶ヶ岳を目指す。正月の上高地は4度目だが今回は小屋泊まりでその分荷物が軽い。 (冬の上高地) 29日新宿発23時56分ムーンライト信州号、松本着は4時32分のはずだった。しかし小淵沢駅の手前で3時間以上立往生。前を走る貨物列車の故障とか。車内でイライラする。 その後も各駅停車状態で松本7時50分発のバスに乗り遅れる。先月の天狗岳の帰りにも特急が運休して各駅停車で帰京したことを思い出した。 松本駅前からバスターミナルへ向かう途中4人の登山者がタクシー運転手となにやら交渉中。そこで5人相乗りで一人あたり○○円で話がまとまった。バス代よりちょっと高い程度で、なんとか中の湯まで行くことができた。不幸中の幸いである。 |
|
10:14 釜トンネル抜けると焼岳がくっきり |
30日 9時35分、中の湯バス停で登山届を出して出発。工事中の新釜トンネルは間もなく完成するらしい。暗くて凍結した危険なトンネル歩きは今年限りでおしまいとなる。 また今年は上高地バス停の改築工事の為冬でも工事車両が走行していた。2年前とは大違い。 10時30分、大正池。親子の野猿の群れを発見。上高地周辺で猿を見たのは初めてである。これも天候異変の影響か? 明神岳、霞岳などは見えたが穂高の稜線には絶えず雪雲がかかっていた。 道路の積雪は30cm位で例年より少なく夏道と同じ速さで歩ける。 14時20分徳沢園着。正月期間営業しているのはここと大正池ホテルだけ。 |
10:32 大正池に猿の一群が現れる 池のカモも人になれなれしい |
12:38 上高地−明神間 積雪は少なかった |
13:21 長塀山・蝶ヶ岳方面が一瞬だけ見えた |
14:16 徳沢キャンプ場 |
31日 7時45分小雪の降る中、徳沢出発。長塀山往復のつもりだったのでのんびりの出発となった。同部屋の若者3人は1時間も前に出発。蝶ヶ岳から横尾へ回ってくるという。 長塀尾根はコメツガ、シラビソなどのうっそうとした針葉樹林が続く。 ナップサック1つの軽装なので先行する10組20人位を追い越す。 9時50分、雪が降り続くので立ったまま小休止。@地点 11時半頃、長塀山は気づかずに通り過ぎてしまった。トレースが急坂を下だるように付いていたのでそこがピークだったと、下りきってから気づいた。 11時40分、2人連れが鞍部でツェルトを張っていたので同じ場所で昼食。雪が大粒になり風の音は大きくなってきた。セーターを着込みオーバー手袋と目出し帽を着けて出発。12時。気持ちは蝶ヶ岳まで行こう、に変わっていた。 |
|
10:46 長塀山直前の樹林帯 |
12:29 妖精の池付近 この辺りから風が強まる |
風がトレースを埋めていき膝までもぐるようになる。同部屋の例の3人組が下山してきた。頂上はすごい風だと言う。何組かとすれ違ったが完全にトレースの消えた箇所もあった。 夏なら妖精の池とかがある凹地を過ぎると左にチラッと頂上稜線が見えた。 コースを外して腰までもぐるようになったのでワカンを履くことにした。長塀山辺りから抜きつ抜かれつしていた男女3人組がその時追い越していったがワカンを着け終ったころ退却してきた。道が分からないのでここで引き上げます、とのこと。時計を見ると12時53分。 13時30分をメドにいける所まで行くことにした。1本目の赤布をハイマツの枝に付ける。5本目を付けているところで5人組が下山してきた。ホッとする。ルートは大体合っていた。 |
13:11 自画像 |
13:14 山頂は地吹雪 |
13時10分頂上の一角へ。三角点(2664m)のある所を頂上とするならば蝶ヶ岳ヒュッテの先だが一番高い所(2677m)を頂上とするならばヒュッテの手前である。雪の飛ばされた稜線はワカンでは歩けないのでヒュッテには寄らず下山。 ホワイトアウトだが時々ガスが薄くなる。その時方角を見極める。自分で付けた赤布を頼りに元のコースを下る。途中で稜線伝いに下りてきた男性4人組に会う。しばらくその後ろを歩く。雪が柔らかいのでなるべく人の後を歩きたい、という心理。5分もしないうちに4人は2人ずつにバラけ後ろの1人が雪に倒れこんだ。足がつったといい、先行した前の2人に伝言を頼まれた。軽装だしワカンを着けているので足を取られることはなかった。 頂上直前で出会った5人組にも追いつく。しばらくその後ろを行く。しかし若いリーダーらしき女性に「私たち疲れていますから」と言われ結局また前を歩かされる。 |
20分程先行して休憩。寒いけど汗もかくので天然冷蔵のジュースを飲む。濡れた手袋を予備と取り替える。先ほどの5人組が来たのでやり過ごす。しかし5分もしないうちにまた追いついてしまった。彼らもワカンを着け始めていた。見るとその先は全くトレースが消えていた。木にかかれた赤丸の目印もない。最悪の場所を先頭になって歩く羽目になった。登りのときもここはトレースが消えかかっていた。 そんなこんなで夏なら30分のところを一時間以上もかけてやっと長塀山まで戻った。14時49分。錆びかかった小さい標識があるだけの頂上だ。ここでワカンを外す。 『ここは標高2000m』という古い看板をみてから最後の休憩。16時。冷えた牛乳を飲みパンをかじる。日没には間に合わないが何とかヘッドランプを使わないですむだろう、と判断。 16時56分、薄明かりのなか小屋着。 |
14:49 古びた長塀山の標識 |
7:35 徳沢を出発 |
1月1日 夜中に雪が30cmほど積もった。朝5時半、写真を撮ろうと外に出た。 頭の上には半月がかかり、星もいくつか見えるが肝心の山には雲が張り付いていた。稜線は吹雪いているようだ。初日の出、モルゲンロードは諦め。 7時30分徳沢を離れる。曇り空で雪も降る、と言うような天気。明神(8時50分)から河童橋(10時10分)にかけて天気が回復。しかし穂高の稜線は最後まで見えなかった。 |
中の湯バス停に客待ちのタクシーが数台。しかし単独客なので交渉不成立。坂巻温泉までと言ったら「歩いて7,8分だよ。」と。さも歩けといわんばかり。冗談じゃない。歩いたことあるがそんなには近くはない。やんわり乗車拒否。坂巻温泉まで歩く。単独行のリスクはこういう時に出る。 入浴後14時28分のバスで松本へ。一日4本のはずのバスが冬季は2便に減便されていた。知らなかった。インターネットで調べたときには冬季ダイヤのことは載っていなかった。 松本発16時6分のスーパーあずさ28号で帰京。 |
10:08 3日間で一番の晴れ間 しかし一瞬であった |
おまけの写真 こんな格好でした 徳本峠分岐付近で 神田山の会の美女軍団と遭遇 (I氏撮影) |
安房トンネルが開通し冬でも中の湯までバスで行けるようになったが1日2本では利便性に欠ける。結局、多人数による相乗りタクシー利用が現在の主流となっている。 松本−中の湯間のタクシーの正規料金は1万4千円位。単独で入山する人は相乗りを利用するしかない。 または沢渡までマイカーで入り、そこからタクシーと言う手もある。ここからだと正規料金のタクシーだけなので面倒な交渉事は必要ない。 |